池袋暴走事故、39万筆の署名が逆効果になるおそれも 送検された元院長の今後は
https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20191112-00150526/
東池袋で赤信号を無視して車を暴走させ、横断歩道を渡っていた母子を死亡させたほか、男女8人と助手席の妻に重軽傷を負わせた男(88)が過失運転致死傷罪の容疑で在宅のまま書類送検された。今後の見込みは――。
なぜ逮捕がなかった?
無免許や飲酒、ひき逃げが伴わない交通死亡事故が発生した場合、運転手が現場におり、負傷していないか、負傷していても重傷でなければ、警察は現行犯逮捕し、逃走などを防ぐ。それでも、持ち時間である48時間以内に釈放し、以後は在宅のまま捜査を続けることが多い。
また、運転手が重傷を負い、救急搬送や入院治療が優先される場合、逃走などのおそれがないので、警察は現行犯逮捕を見送る。回復を待ったうえで逮捕状を得て逮捕することも可能だが、その段階で証拠の確保を遂げており、逃走のおそれもなければ、逮捕状が出ないので、逮捕を見送る。
これは、捜査や裁判のルールを定めた規則に次のような規定があるからだ。
「逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない」(刑事訴訟規則143条の3)
現実問題としても、故意犯と違って過失犯の場合、過失の有無や程度に関する裏付け捜査に時間を要する。多重衝突事故や車両性能が問題となるような事故、運転手が何らかの弁解をしているような事故の場合にはなおさらだ。