日本刀博物館「名古屋の観光名所に」 2020年開館 
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東建コーポレーション(名古屋市)は来年6月、名古屋・栄に博物館「名古屋刀剣ワールド」を開設し、国宝の短刀「有楽来国光(うらくらいくにみつ)」を含む約200本の日本刀を展示する。
左右田(そうだ)稔社長兼会長(72)は「信長、秀吉、家康の三英傑をはじめ武将に縁深い名古屋で、歴史に焦点をあてた観光名所をつくる」と意気込みを語った。(中野祐紀)

 刀剣ワールドは、同社の28階建て高級賃貸マンション「栄タワーヒルズ」本館の1、2階の一部と、隣接する7階建ての北館に入る。
展示スペースの延べ床面積は約3300平方メートルで、国宝、重要文化財などの刀に加え、甲冑(かっちゅう)50領や、絵柄に刀剣類が登場する浮世絵も展示する。ミュージアムショップも設ける。

 有楽来国光は、鎌倉時代末期から南北朝時代の京都の刀工・来国光の作で、刀身の長さは27.7センチ。織田信長の弟で茶道家としても知られる織田有楽斎が一時所持していた。最近は埼玉の個人が所有していたのを同社が入手し、博物館で展示する。


 左右田氏は徳川家康の生誕の地として知られる愛知県岡崎市出身で、東建の創業者。刀剣の収集は、28歳で始め「これまでに35億〜40億円投じた」という。
社員にも長年明かしていなかったが、数年前に部下に見せたのをきっかけに公開することにした。個人と会社の所有の刀剣約400本を、博物館のため設立した財団に寄付する。

 博物館では、最近入手した刀「折返銘国宗(おりかえしめいくにむね)」も展示する。鎌倉中期の作で、一時期、アドルフ・ヒトラーが保有したという。一般公開は初めて。

 東建によると、多額の施設整備費や運営経費が必要な博物館で収益を得るのは難しく、地域の文化、観光振興への貢献の色合いが強い事業になる。入場料は1000円の予定。
左右田氏は「刀剣がそれぞれ持っている物語と魅力に触れてもらえる場にするため、展示を工夫する。インターネットでの情報公開も充実させたい」と話した。