【西表】南西部の崎山湾・網取湾自然環境保全地域で、海草「ウミショウブ」の藻場がアオウミガメの採食で消失・減少していることが分かった。
環境省西表自然保護官事務所によると、網取湾ではすでに藻場が消失、崎山湾でも全体的に繁茂しているエリアがなくなっている。
同事務所は、藻場を利用する魚類など生物の生息・産卵場所がなくなるとして生態系への悪影響を懸念、今年度にアオウミガメの採食防止対策に向けた計画を策定するなど対応に乗り出す。
網取湾では1974年時点で1936fの藻場があったが、13年には消失。
崎山湾では2万3588fから13年には1万4477fにまで減り、14年以降も減少が進んだ結果、全体的に繁茂する海域がなくなっているという。
西表島でのウミショウブの群落は干立・祖納、祖納漁港、美田良海岸、白浜港周辺、内離島、船浮湾、崎山湾にある。
調査は、同事務所と東海大学沖縄地域研究センターが実施。
アオウミガメの食性調査で消化管内からウミショウブが多量に出てきた。
消化管内に残ったウミショウブの葉と採食された葉のどちらにもアオウミガメとみられる鋭利なかみ跡が見られた。
近年、西側海域には若いアオウミガメが高い密度で生息。DNA解析から、海外から渡ってきたアオウミガメが大半を占めるという。
15〜17年にシュノーケルで崎山・網取湾のアオウミガメ個体数を調査した結果、崎山153個体、網取83個体を確認。
18年に行ったドローン調査でも、崎山湾では約15分間(範囲1.4`)の飛行で31個体を発見した
ウミショウブは、トチカガミ科の大型海草で葉の高さは約70a。
寿命は約10年、環境省レッドリストで絶滅危惧U類に指定。
インド洋から西大平洋に分布し、八重山諸島が分布の最北端。
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