シンガポール/クアラルンプール 16日 ロイター] - リフィニティブおよびベッセルズ・バリューの
船舶追跡データによると、中国企業が所有する超大型原油タンカー(VLCC)「パシフィック・ブラボー」が
マラッカ海峡に向かう途中のインド洋沖合で6月5日、船舶の位置などを示すトランスポンダー
(無線中継機)のスイッチが切られ、追跡できなくなっていたことが分かった。
米政府は、パシフィック・ブラボーがイラン産原油を積んでおり、米国の対イラン制裁に違反するとして、
アジアの港湾都市に対し同船を寄港させないよう警告していた。VLCCは一般的に約200万バレルの
石油を輸送する。
その後、7月18日にVLCC「ラテン・ベンチャー」のトランスポンダーがマラッカ海峡に面した
マレーシアのポートディクソンで作動した。ポートディクソンはパシフィック・ブラボーが最後に
位置を示した地点からおよそ1500キロメートル離れている。
ただ、船舶追跡データによれば、ラテン・ベンチャーとパシフィック・ブラボーが発信した国際海事機関
(IMO)の船舶識別番号は「IMO9206035」で一致。IMOの識別番号が変更されることはないため、
ラテン・ベンチャーとパシフィック・ブラボーは同一のタンカーであり、所有者が米国の対イラン制裁の
回避を試みた可能性がある。
オンライン船舶サイト「イクエーシス」のデータによると、タンカーの所有者は上海を拠点とする
クンルン・ホールディングスで、シンガポールにもオフィスを構えている。オフィスに電話で
問い合わせたが応答はなかった。
追跡データによると、パシフィック・ブラボーとして航海中の貨物タンクは満杯だったが、
42日後にラテン・ベンチャーとして現れた際には空だったという。
https://jp.reuters.com/article/shipping-oil-sanctions-malaysia-idJPKCN1V61TI