公開初日の六本木ヒルズ。ほぼ満員の客席、20代から30代と思しき方々がパンフレットを手に「ドラクエ映画」を談笑しながら待ちわびていた。
「ビアンカとフローラどっちを選ぶのか」「どこまで忠実にドラクエができるんだろう」「ピエールは出るかな?」。
本作はシリーズ屈指の名作でありながら、幼年期・青年期・その後と主人公の人生そのものを追体験するかたちで描かれる「V」の映画化ということもあり、
観客、すなわちプレイヤーそれぞれの個人体験が根付いてしまっているような作品である。
そのため公開前に語りたいことも多かっただろう。自分もその1人だ。
「1時間40分でアニメ化するなら幼年期はほぼカットだろうな」とか、
「ほぼダイジェストにはなるだろうけど、結婚には時間を割いてくれるんだろう。
原作のこのネタがあったらうれしいな」という淡い期待を持ちながら(監督・脚本スタッフの名前にものすごく嫌な予感を抱えてはいたが)
上映開始を待ち続けていた。そして映画が始まり、終わった。すべての客は動きを止め、静まりかえっていた。
※以下、「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」のネタバレを含みます
映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」レビュー ゲームを、フィクションを、人生をここまで愚弄する作品を私は他に知らない
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1908/10/news008.html