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アイダホ州マディソン郡レクスバーグに在住のシェイリーン・バーグソンちゃん(Shaylyn Bergeson、9)は7月29日、自宅裏で木登りをして遊んでいる最中に木から転落した。
娘が外に出たまま帰ってこないことを心配した両親は、その日の午前中に警察に捜索願を出しており、シェイリーンちゃんは駆けつけた警察官らによって間もなく発見された。
シェイリーンちゃんは地面から突き出していた鉄筋の上に左後頭部から落ち、鉄筋が脳を突き刺していた。鉄筋が切断された後、アイダホ・フォールズの病院に搬送されたシェイリーンちゃんは、そこからさらにヘリコプターでユタ州ソルトレイクシティのプライマリー・チルドレンズ病院へと運ばれた。
医師らは脳の圧力を下げるため頭蓋骨の半分を外す緊急手術を行ったが、シェイリーンちゃんは出血が酷く、両親は「手術が成功する確率は50%」と告げられた。

変わり果てた娘の姿に、シェイリーンちゃんの両親は「どうしてこんなことになってしまったのか?」「この事故は防げたのではないか?」と自分たちを責め続けた。
実は一家は2016年、シェイリーンちゃんの姉ブリアナちゃんを染色体異常の病気で亡くしていた。ブリアナちゃんは3年間をホスピスで過ごしたが、病気には勝てず10歳で息を引き取った。

「なぜ私たち家族にばかりこんな悲劇が起こるのか。命だけは助かって欲しい」―家族の必死の願いにもかかわらず、シェイリーンちゃんの容態が回復することはなく、両親はある決断を迫られた。事故から3日後の8月1日午後、シェイリーンちゃんの母ジェシーさんはFacebookに次のような投稿をした。

「2か月前、息子トリスタン(11歳)やシェイリーンと3人で臓器提供について話す機会がありました。その時シェイリーンは、ためらうことなく『もしその時が来たら、できる限り全ての臓器を提供したい』と言ったのです…。
そして今、愛しくて優しくて思いやり溢れるあの子が救われるように、私たちは臓器提供の準備をしています。できるだけ多くの人の命が救えるように、またシェイリーンが敬われ安らかに眠れるように、医師らは最善を尽くしています。
私たちのために祈って下さい。親が子供を埋葬しなくてはいけないなんて、これほどつらいことはありません。」

この投稿があった夜、シェイリーンちゃんはプライマリー・チルドレンズ病院で家族に見守られながら安らかに息を引き取った。

ジェシーさんは事故後に立ち上げられた寄付金サイト『GoFundMe』にこのように綴っている。

「8月1日午後8時45分、シェイリーンが亡くなりました。循環的死亡後に臓器提供が行われ、娘は4人の命を救い、1人に視力を与えたのです。
移植チームは肝臓、腎臓、心臓弁と角膜の摘出に成功し、私たちは悲しみに打ちひしがれながらも希望を見出しています。娘を心から誇りに思うと同時に、臓器を待ち続けたであろう5人の方が娘の臓器受容者となったことを大変嬉しく思っています。」