「中国にはもはや韓国はない」…北京の都心、消える韓国料理店

1998年に北京特派員として赴任し、2004年に帰国した。そして2019年2月に再び中国にやって来た。15年ぶりだ。会う人会う人が聞いてくる。
何が最も大きく変わったかと。それは何か、よく考えてみた。最近下した結論はこうだ。「韓国という国の存在感は、今の中国ではほとんど消えたなあ」

北京に来ると、中国の知人がランチの席を設けた。礼儀は互いに行き交うべきではないか(礼尚往来)。数日後、今度は私が招待することにした。中国の知人は韓国料理を希望した。
内心嬉しかった。中華料理はとても高いため若干心配だったが、韓国料理なら大丈夫そうだと考えたからだ。
しかし、意外な問題にぶつかった。中国の知人のオフィスが皇帝が住んでいた北京中心の紫禁城を丸く囲む第2循環道路(二環路)の側にあるためランチの場所に近くの韓国料理店を調べたが、到底見つけることができなかった。

北京ではまるで同心円のように中央から外側に広がっていく循環道路が複数ある。問題は全長48キロメートルの第3循環道路の中にまともな韓国料理店が1カ所でもないということだった。全滅だった。
ソウルの4大門の中に中華料理店が1つもないのと同じことだ。以前よく行っていた第2循環道路内の「スブクソン」はもちろん、長安街のLGビル内の「エガンサン」も店を畳んだ。
CJの「ビビゴ」チェーン店も今年の春に事業撤退した。困り果てた。ようやく第3循環道路のすぐ外の韓国料理店「ソラボル」で中国の知人に会った。

ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』が起こした中国内の韓国料理ブームはどこへ行ったのか。90年代初め、中国飲食業に進出したオン・デソン韓国料理世界文化北京協会会長に尋ねた。
オン氏はTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)をめぐる葛藤の後遺症を1つ目に挙げた。THAAD報復として韓国観光が遮られると中国人の日本旅行が増えた。そして日本料理がおいしくエコで値段も手ごろだという考えを持つようになったという。北京の味覚が韓国料理から和食に変わったのだ。
2つ目は「北京内の韓国人が激減した」という点だ。一時、第4、第5循環道路の間の韓国人密集居住地域である望京に住んでいる韓国人が10万人に及んだ。今は2万人にもなるだろうか。韓国人相手の商売が難しくなった。

続く
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190807-00000033-cnippou-kr