人民元が約10年ぶり安値に急落したのを受け、アナリストや投資家は1兆1000億ドル(約117兆円)に上る中国の米国債保有残高に用心深い目を向けている。

  米国にとって最大の外国債権者である中国が、貿易戦争の報復手段として保有米国債を大量売却するというアイデアはしばしば、ありそうもないとして一蹴されてきた。
一つの理由は3兆1000億ドルもの外貨準備高の預け先があまり多くないためだとアナリストらは話す。

  ただ、中国当局の譲れない一線と長年受け止められていた1ドル=7元を超える水準に元が5日に急落したことで、米国債大量売却の可能性は排除できないことが
示されていると、米エール大学の上級講師、スティーブン・ローチ氏は指摘。中国は「豊富な弾薬」を持ち、トランプ米大統領よりも長い時間枠で動いていると付け加えた。

  元モルガン・スタンレー・アジア会長のローチ氏は「ほとんどの人は中国が通貨という対抗手段を使うとは思っていなかったが、的を絞って実際にそれを使用した」ため、
「中国が他の選択肢を検討する可能性は考えられることであり、米国債という選択肢を排除することはできない」と分析した。

 中国は既に米国債保有を減らしており、現在は約2年で最低で、2013年のピークを約2000億ドル下回っている。しかし、5日の展開は中国がさらに保有を縮小する可能性があるという臆測に拍車を掛けた。

ぶるーむばーぐ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-06/PVSE6JT1UM1001?srnd=cojp-v2