観て、語り、そして忘れない。「京アニ」が支えた『赤い光弾ジリオン』の奇跡https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190802-00010000-magmix-ent&;p=1

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京都アニメーションへの放火事件に世界中のアニメファンが心を痛め、「京アニの作品に励まされた」といった声が後を絶ちません。
32年前、同社の制作協力で放送開始したTVアニメ『赤い光弾ジリオン』を「自身の原点」と明言するアニメ・ゲームライターの早川清一朗さんが、同作品の魅力と当時の思い出を語ります。

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 2019年7月18日(木)に京都アニメーションを襲った惨劇を、未だ現実と思えない自分がいます。
朝起きたら、元通りになっているのではないか。そんな思いを抱いて10日以上が経ちましたが、現実は何も変わってはくれませんでした。

 8月1日時点で35人の尊い命が失われています。また怪我をされた方々やご家族も大変苦しまれていると思います。日々、ともに作品を作り上げていた仲間たちが目の前で火と煙に巻かれる光景を見てしまった方の心が受けた傷は、とても大きなものでしょう。

 今は亡くなった方へのご冥福と、怪我をされた方の心身の回復を祈ると共に、京都アニメーションが作り上げてきた作品を語るという、自分にできることをやっていこうと思います。

『赤い光弾ジリオン』(以下、ジリオン)は、1987年に放送されたSFバトルアクションアニメです。制作は竜の子制作分室。後にProduction I.G(以下、I.G)となり、『攻殻機動隊』シリーズや『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズなどを世に送り出したアニメ制作会社の、記念すべき第一作となります。

 このとき、『ジリオン』の制作を取り仕切ったのが、現在もI.Gの代表取締役社長を務める石川光久氏(以下、石川氏)です。

 石川氏は少ない予算を補うため私財をつぎ込みながら、優秀なスタッフをかき集めました。その際に石川氏が声をかけたのが京都アニメーションでした。

 石川氏は、アニメーションの色塗りと確認を行う「仕上げ」工程の素晴らしさで知られていた京都アニメーションを『ジリオン』に絶対必要な存在だと考え、京都まで直接足を運んで参加を要請したと、のちに語っています。

 こうしてI.Gと京都アニメーションの合作という、現代では奇跡としか思えないコラボレーションが誕生したのです。

 京都アニメーションは「制作協力」とクレジットされ、同じ関西のスタジオであるアニメ・アールとも連携して制作にあたりました。そして完成した『ジリオン』は、30年以上たっても色あせることが無い不朽の名作となったのです。