人はなぜ差別やいじめをするのでしょうか。『「いじめ」や「差別」をなくすためにできること』(ちくま新書)などの著書がある精神科医の香山リカ・立教大教授は、「差別やいじめは被害者に原因があるのではなく、加害者に原因がある。被害者ではなく加害者の問題なのです」と説いています。

 では、なぜ加害者がいじめや差別をするのか。香山さんの説はこうです。「競争社会のなかで自己愛が満たされずに不満や焦りを抱えた人が、『私の人生、こんなはずじゃなかった』『あの人ばかりいい目を見ている』と傷つき、怒り、復讐しようとする」。
香山さんは、攻撃の背景には「不安や葛藤から目をそらす『否認』」があると言います。「『自分たちは被害者であり、悪いのは彼らだ』と他人のせいにする。自分と少しだけ違う人を『敵』『加害者』とみなして攻撃する」

 香山さんはさらに、一度いじめや差別を始めるとやめられなくなる心理について「確証バイアス」という言葉で説明します。「いったん『自分たちは正しい』『守られている』という思いを味わうと、自分の考えに沿う情報しか信じない心理『確証バイアス』になり、異論を受け入れられなくなる。差別やいじめに依存するようになる」と。

 香山さんは「自分が強くなったような錯覚を味わうかもしれないが、他人を攻撃することに依存し、周りの人も自分も傷つけて、一生を台無しにしかねない」と警告しています。

■弁護士に謝罪の男性「ただの差別だった」

 最近では、ブログでの呼びかけに応じた人たちが弁護士に対する大量の懲戒請求を出した問題もありました。「朝鮮人は日本をおとしめている」などと主張するブログが、朝鮮学校への適正な補助金交付を求める声明などを出した弁護士会を批判。
在日コリアンの弁護士やヘイトスピーチに取り組む弁護士ら特定の弁護士名をあげて懲戒請求を呼びかけました。ブログの呼びかけに応じた人たちが、指示されるままに自分たちの住所や名前を記入し、大量の懲戒請求を出したとみられます。

 懲戒請求に加わったという60代の男性が「請求は過ちだった」として弁護士に謝罪し、2019年4月に記者会見しました。当時の自分の心情を「退職で、取引先も仲間もなくなって疎外感がある中、正しい運動をしているという正義感や高揚感があった」と説明。
しかし、ネットで情報を集めるうち「ブログに書かれたことは、ただの差別ではないか」と気づき、「彼らに大変な驚きと悲しさを与えたとわかり、目が覚めた」と告白しています。

 懲戒請求に多数の人が加わった背景にも、在日コリアンや日本と朝鮮半島の歴史に対する理解不足や偏った知識にもとづく偏見や差別が背景にあったものとみられます。この男性の場合は、「退職による社会からの疎外感」も背景にあった、と語っていました。

戦後も続いた部落差別

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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190619-00000002-withnews-soci&;p=2