長崎県対馬市で繁殖している特定外来生物ツマアカスズメバチの駆除活動が、今年も市民の協力を得て進んでいる。見つかる巣の数は一時期減ったが、
昨年度は調査開始以来、最多に。環境省は新たな駆除手法の開発に取り組む。
■今年も地元市民ら参加
 2リットルのペットボトルの側面に1・2センチ四方の穴を開け、発酵させた乳酸菌飲料を入れる。巣を作る前の女王蜂を捕獲する「わな」だ。4月27日、
対馬市上県町の対馬野生生物保護センターで、地元の親子連れがこのわなづくりに挑んだ。
 繁殖力が強く、在来の蜂を脅かすツマアカスズメバチは、中国南部や東南アジアなどが原産。2003年に韓国・釜山に侵入し、日本では12年、対馬市で初めて
確認された。15年以降、北九州市や宮崎県日南市、壱岐市や大分市で巣や個体が見つかっているが、定着が確認されたのは対馬市だけだ。
 対馬市では16年から、巣作りなどで女王蜂が単独で動く4〜5月に、まちぐるみで「ツマアカ女王蜂駆除大作戦」と銘打った捕獲・駆除活動を展開する。
わなづくりも、その一環だ。
 参加者はこの日、ツマアカスズメバチの生態などについての説明を聞いた後、わなを製作。同センターのある棹崎公園に設置した。さまざまな種類の蜂の標本や、
わなにかかった蜂に興味津々だった力石陽太(ひなた)くん(6)は「知らなかった蜂を教えてもらって楽しかった」と話した。

■巣が5倍増で最多 昨年度 環境省、新手法を試行錯誤
 環境省によると、対馬市では13年度に確認されたツマアカスズメバチの巣の数は56個だったが、14年度に150個、15年度に259個と年々増加した。16年度は、
「大作戦」の効果もあって49個と5分の1以下に激減。17年度も70個にとどまった。
 だが、18年度は358個と、前年度の5倍に激増し、過去最多となった。同省の担当者は「市民の意識が高まり、通報が増えた」のが要因の一つとしつつ、
「生態の研究が進んでおらず、はっきりとした根拠は分からない」と話す。これまで比較的少なかった南部にも分布が広がりつつあるという。

いかそ
https://www.asahi.com/articles/ASM5N6QRVM5NTOLB00Z.html