創業200年超の老舗、気づけば「社員9割が外国人」 武田薬品日本人社員の試行錯誤

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急速に進むグローバル化。日本企業による過去最大の企業買収に踏み切った武田薬品工業では、いまや従業員の9割が外国人だ。日本人社員はどう対応しているのか。(箱谷真司)

昨年3月に完成した東京・日本橋の「武田グローバル本社」。4階ロビーの大型スクリーンでは、ニューヨーク証券取引所への上場を祝って1月に開かれたセレモニーの映像が流れ、その脇を多様な国籍の外国人が行き交う。

武田は今年1月、アイルランドの製薬大手シャイアーを日本企業として過去最高の約6兆円で買収。売上高で製薬企業の世界トップ10に入った。それに伴い、世界で約5万人いる従業員の9割が外国人になった。

「こんなに国際化が進むとは想像もつかなかった」。2015年から西日本のがん事業(営業部門)を統括している江原昌慶(51)はそう話す。

フランス人社長の登場

大学で薬学を学んだ江原は、1991年入社。当時は研修でフランス人を1人見かけた以外は、周りに外国人がいた記憶はない。英語は話せなかったが、業務に支障はなかった。医師に自社品の効能などを説明する営業職としてキャリアを積んできた。

武田は80〜90年代、年間売上高が1000億円を超す四つの新薬を発売。海外での売上高も増え、江原も徐々に国際化の波を感じ始める。

決定的だったのは2014年。英国の製薬企業出身でフランス人のクリストフ・ウェバーが、武田初の外国人社長に就いた。「インパクトがあった。本当の意味でグローバル企業になる過程だと感じた」と振り返る。

本社は日本人が半数以上だが、世界のがん事業を統括する上司はフランス人やアメリカ人で、英語が欠かせない。英会話教室で週6時間ほど勉強し、フィリピンで3週間の英語合宿にも参加。自宅の最寄り駅で困っていそうな外国人に声をかけ、英語力と度胸を磨いた。

グローバル企業で活躍するには、どんなスキルが必要なのか─。江原は「成功体験を『言語化』して周りに伝えること」という。