欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は6日、同業大手の仏ルノーに対する経営統合の提案を取り下げると発表した。ルノーの筆頭株主の仏政府が統合案に介入し、提案の実現が見通せないと判断したとみられる。
両社の世界販売をあわせると約870万台規模。世界3位の自動車グループの発足をめざしていたが、統合案は白紙に戻ることになった。

 ルノーは4日の取締役会で、FCAとの統合について話し合ったが結論に至らず、5日夕方(日本時間6日未明)から再び取締役会を開催。6時間にわたって議論を続けた。
関係者によると、取締役会で統合提案の受け入れを採決したところ、ルノーと連合を組む日産自動車出身の2人が棄権。仏政府の代表者が「もう少し待ってほしい。アライアンス(提携)関係にある日産の賛成を取り付けたい」と主張して投票の延期が決まったという。連日の協議でも結論は出なかった。

 取締役会の終了後、FCAが仏政府の対応に不満を募らせ、ルノーに提案を取り下げる意向を伝えたという。
FCAは6日に出した声明で、「提案の合理性にはいまも自信を持っているが、統合を成功裏に進めるためのフランスでの政治的条件が存在しないと明らかになった」として、
仏政府の介入が提案撤回の理由になったと暗に批判した。ルノーやルノーのジャンドミニク・スナール会長、日産には謝意を示した。

 FCAは5月27日、ルノーと対等の立場で統合会社をつくり、本社をオランダに置く計画を提案。
スナール氏とFCAのジョン・エルカン会長の間では統合をめざす方向で一致していたが、関係者によると、ルノーに15%を出資する仏政府が自国に有利な条件を引き出そうと要求を積み重ねた。
ルメール仏経済・財務相は「いい条件で統合されなければならない」として、「統合でルノー側の雇用が一切損なわれないこと」などの確約を引き出そうとした。これにFCA側が不満を募らせたという。
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