中国の魏鳳和国防相は、シンガポールで開かれている安全保障問題について話し合う国際会議で演説し、
台湾や南シナ海の問題をめぐりアメリカの対応を批判したうえで、「衝突し戦争になれば両国にとっても
世界にとっても災難だ」と述べ、衝突を回避するための歩み寄りを求めました。

シンガポールで開かれているアジア安全保障会議に中国の国防相として8年ぶりに参加している魏鳳和国防相は、
2日午前、アメリカと対立する台湾や南シナ海の問題をめぐり「アメリカの間違った言動に断固として反対する」
と強く反発しました。

そのうえで、台湾については「台湾を中国から分裂させようとするなら中国軍は戦争も一切の代償もいとわない」
などと述べて強い姿勢を示しました。

また、南シナ海の問題については、アメリカ海軍が中国が主権を主張する海域で艦艇を航行させる
「航行の自由」作戦について、「最大の不安定要素」だと批判し、アメリカが批判する軍事拠点化の動きについては
自衛のためだとして、「主権国家の正当な権利だ」と正当化しました。

一方で、「われわれは、中国とアメリカがもし衝突し戦争になれば両国にとっても世界にとっても災難だと
認識している」とも述べ、「戦争」という強い表現を使って、衝突を避けるための歩み寄りを求めました。

アメリカのシャナハン国防長官代行は1日の演説で、中国について「最大の長期的な脅威だ」と鋭く批判していて、
中国としては、反発を強めつつも対立を和らげようとする意欲もにじませた形です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190602/k10011938221000.html