時代は昭和から平成、令和へ。変わらぬままの風景もありますが、時代とともに失われていく風景もあります。
60年間愛されてきた釜飯弁当が、長い歴史に幕を下ろすことになりました。
『今は窓も開かないし、もう売れない』弁当を売り続けた男性が引退を決めた背景には、時代の移り変わりがありました。
60年間駅のホームで釜飯弁当を売り続けた男性(75)が引退へ、時代の移り変わりで 岐阜・美濃加茂市
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190529-00010004-sp_ctv-l21
岐阜県美濃加茂市にあるJR美濃太田駅。首から弁当が入ったハコを下げホームを歩く男性は、
酒向茂(さこうしげる)さん(75)です。この駅で約60年間、釜飯弁当を販売しつづけてきました。
誰にでも気さくに話しかける酒向さんの姿は、ずっと変わっていません。しかし酒向さんは5月いっぱいで、その60年の歴史を終えることを決めました。
「一番大きな問題は売れない。私が年やし、定休日がないし、とてもじゃないがやっとれません。えろうなってきたわ」(酒向茂さん)
毎日休みなしで弁当を売り続けてきた、酒向さん。しかし最近は弁当そのものがあまり売れなくなったといいます。
その理由には、世の中の変化がありました。
「昔は(電車の)窓は開いた。停車時間はあった。電車が走り出しても、ゆっくりだったから、走りながらでも売れた」(酒向茂さん)
1日に300個以上も売れていた頃は、電車の窓を開け手渡ししていました。
「年とるとよ(階段の)のぼりがえりゃぁもんだで。下りはええけど」(酒向茂さん)
この日も上りホームと下りホームを行き来しながら弁当を売り続けた、酒向さん。
「便利がようなるほど、うちらはあかんの。リニア走ってみやあ、弁当屋いらへんよ」(酒向茂さん)
時代の流れとともにひとつの風景が、幕を下ろします。