ドイツ、50年にCO2実質ゼロ 首相が意欲
ドイツ政局 環境エネ・素材 ヨーロッパ
2019/5/15 5:50

【ベルリン=石川潤】ドイツのメルケル首相は14日、ベルリンで開いた国際環境会議で、2050年までに二酸化炭素(CO2)の
排出量を実質ゼロにするための議論を始めると表明した。「目標を達成できるかどうかではなく、どう達成できるかを
話し合う」と語った。50年の実質ゼロの目標はすでにフランスのマクロン大統領が表明しており、独仏の足並みが
そろいつつある。

メルケル氏は5月末に開く関係閣僚による会議で議論に着手する見通しだ。目指すのは「カーボンニュートラル」と
呼ばれる状態。CO2の排出量を大幅に削減するとともに、排出してしまう分については貯蔵や植林などによって
相殺する仕組みを検討していくことになる。

ドイツ政府は目標達成の道筋がある程度みえた段階で正式決定するとみられる。負担を求められる産業界などが
反発する可能性もある。

ドイツは20年のCO2の排出削減目標の達成が難しい状態で、フランスなどに比べて気候変動問題への対応の遅れが
指摘されていた。50年にCO2の排出量を実質ゼロにするという目標に対してもドイツはこれまで慎重な姿勢を示してきた。

ドイツではCO2の削減に積極的な取り組みを求める若者のデモが各地で続いているうえ、環境政党の緑の党が支持率で
第2党に躍り出るなど、世論の圧力も強まっている。メルケル氏の新方針には残り2週間を切った欧州議会選挙に向けて、
環境問題に前向きな姿勢をアピールする狙いもあるとみられる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44810910V10C19A5000000/