2019年5月9日、戦後日本のロシア語教育界をリードしてきた東京ロシア語学院が創立70周年を迎え、特別展示会が世田谷区経堂の校内で開かれている。
学院はロシア・アヴァンギャルド芸術家のワルワーラ・ブブノワや『研究社露和辞典』を編纂した東郷正延、また通訳者でエッセイスト米原万里が
教鞭をとったことでも知られる、由緒ある教育機関だ。学院が次なる10年間の歩みを始めるにあたり、スプートニク日本が藻利佳彦学院長を取材した。

(中略)

今日の日本社会でロシア語を学ぶ意義は果たして何なのか。藻利学院長によれば、露日間の相互理解は十分なレベルに達したとはいいがたく、
ロシア市場に進出している日系企業も中国や韓国と比べて圧倒的に少ない。
ロシアを隣国として見る意識が日本人の間であまりに希薄な状況に学院長は危機感を抱いている。

また、戦後日本は無数の米軍基地を抱え、米国的発想を押し付けられて生きてきたものの、それが果たして「日本的な」考え方なのか、学院長は疑義を投げかける。
学院長によれば、「知らぬ間に我々は米国の立場に立っており、日本の立場に立っていない」。
日本の立場を客観視するのであれば、ロシアとの関係も考えるべきであり、隣国ロシアの考え方を知ることは最終的に日本の再発見にもつながる、と強調した。

今日に至るまで学院はロシア語能力検定試験やスピーチコンテストの開催など、学習環境の整備を率先して担ってきた。
そして学院で学んだロシア語のスペシャリストたちは二国間の共同経済活動や文化交流の最前線で活躍している。

果たして次なる10年間の間に学院はどのような躍進を遂げるのだろうか。学院の活動から目が離せない。
https://jp.sputniknews.com/opinion/201905156259403/