今だから作れる祖母の味 「キムさんのスープ」

 祖母の愛情も、自分のルーツも、素直に受け入れられなかった少女が大人になり、生まれ育った長崎市でカフェを開いている。
いまだからこそつくれるスープに自身のアイデンティティーを重ねながら、お客さんたちを元気にしている。

 長崎市江戸町にあるカフェ「Nobister(ノビスタ)」。4月中旬のお昼どき、10席の小さな店に常連客が次々と訪れる。
オーナーの金海伸子さん(43)がつくるこの日の日替わりスープは「キムズスープ」。
ニンジンや大根などの根菜に、調味料はみそとコチュジャン、ごま油。
「おいしい」「この味好き」と言いながら、心と体をあたためて、午後の仕事に戻っていく。

 日本人の母と在日韓国人2世の父との間に生まれた伸子さん。長崎市で育ち、話す言葉も日本語だったが、食卓は周りの家とは違った。
母がつくるハンバーグなどのおかずに、父方の祖母、金(キム)西運(セイウン)さんがつくるキムチやナムルが並んだ。

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