会社法違反(特別背任)の罪で起訴された日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)が再び保釈された。
東京地裁は証拠隠滅の恐れを認めながら保釈を決定する異例の判断に踏み切った。
弁護側は「問題ない」とする立場だが、検察側は「現実に隠滅行為がある」と主張。
「これが許されるなら日本の刑事司法は崩壊する」(幹部)と猛反発している。
「地裁は証拠隠滅の恐れが低いと判断したのではない。それを認めたのに保釈決定を出した。全庁的に怒り狂っている」。
ある検察幹部は憤りを隠さない。
地検の久木元(くきもと)伸次席検事は「事件関係者に対する働きかけを企図していたと認めた上、保釈を許可したのは誠に遺憾」
と裁判所の決定内容に言及する異例のコメントを出した。
特捜部が家宅捜索で押収した携帯電話などから特定した「働きかけ」の一つは具体的だ。関係者によると、
ゴーン被告が金融商品取引法違反容疑などで勾留されていた昨年12月ごろから今年1月上旬、妻のキャロルさんに指示し、日産資金を不正支出したとされるサウジアラビアの友人と日産のフランス人幹部の2人に対し、
支出が正当なものだと説明するよう求めるメールを送信させたという。
キャロルさんは日産資金を不正に支出させ、自身に還流させたとされるオマーンの販売代理店の関係者とも接触している可能性があるという。
地裁は保釈決定で、昨年12月ごろから2月上旬ごろの間、ゴーン被告による事件関係者への「働きかけの企図」があったと認定。証拠隠滅を疑う相当な理由があるとした。
一方で弁護人らの指導、監督が徹底されていることなどを理由に、キャロルさんを接触禁止対象の事件関係者に加えるに留め、保釈を許可した。
一方、別の検察幹部は「ゴーン被告を拘束することを恐れる理由が分からない。そこまでして『人質司法』批判を避けたいのか」
とした上で
「これほど証拠隠滅を証明できたケースはなく、今後はこの誤った運用が定着していく」と他の事件への影響を懸念した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190425-00000613-san-soci