トランプ米大統領が安倍晋三首相からノーベル平和賞に推薦されたと自慢したことが、内外に波紋を広げている。

 国会では野党が「恥さらし」などと首相を批判し、与党から「米国べったり」との不満も漏れる。
国際社会でも首相とトランプ氏の親密な関係は有名だが、今回の推薦騒動で「やはりトランプ大統領の“ポチ”(愛犬)だった」とも揶揄(やゆ)されている。

 その一方で、「安倍流の強(したた)かな“猛獣使い”外交」と評価する向きもあり、永田町でも格好の話題となっている。

 事の発端は、トランプ氏が2月15日の記者会見で「安倍首相からノーベル平和賞に推薦された」と口を滑らせたこと。

 首相からの推薦状に「日本を代表して謹んであなたを推薦する」と書かれていたと、得意満面で説明した。
欧米メデイアはこのニュースに飛びつき、週末を迎えていた日本政界にもざわめきが広がった。

 首相は週明け18日の国会審議で野党側から真偽を質(ただ)されると、「ノーベル委員会は推薦者と被推薦者を50年間は明らかにしないので、コメントは差し控えたい」とした上で、
「事実ではないと言っているのではない」と、間接的な表現で推薦を認めた。

 野党側は中距離核戦力(INF)全廃条約破棄などのトランプ外交を指摘して、「恥ずかしいほどの対米追従で国益を損なう」などと激しく攻撃した。

 首相は「(大統領は)北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて果断に対応している」と反論するとともに、
野党側の口を極めたトランプ批判には、「米国は日本にとって唯一の同盟国であり、一定の敬意は払うべきだ」などと声を荒らげた。

【点描・永田町】安倍首相は「猛獣使い」か「ポチ」か〜ノーベル平和賞「推薦」の波紋〜
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190310-00010004-jij-pol