「すべての困難は、あなたへの贈り物を両手に抱えている」とは、『かもめのジョナサン』などで知られるアメリカの作家リチャード・バックの名言。
苦労や悲しみを乗り越えた先には必ず、希望にあふれた未来がある──。
42才・主婦のAさんが、そんな言葉を実感させるエピソードを告白します。

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「月5万円も払ってんだから、もっといい点数を取ってこいよ」

 そう夫が怒鳴れば私も、

「このままじゃどこの高校も入れないわよ! バカ息子!!」

 などと続ける。当時の私たちは、息子の成績が落ちていくことが信じられず、その責任を息子になすりつけていたんです。

 3才で文字を、5才で九九を覚えた息子を、私たち夫婦は、神童とばかりに自慢に思い、将来を期待していました。
ところが、入学した地元の公立中学校は荒れていて、授業妨害は当たり前。既定のカリキュラムすら進まない状態でした。

 それでも、うちの息子だけは頭がいいから大丈夫、と思い込んでいた私たちは、学校がダメならと、中学2年生から進学塾へ通わせることに。
しかし、学校で基本すら習っていなかった息子は、塾で最下位の成績を取ってしまったんです。
息子もショックだったようで、やる気をなくしてしまいました。

 そんな息子の様子に、私たちは焦りました。成績が上がらないのは怠けているからだと決めつけ、毎日のように怒鳴りつけてしまったのです。

 そして中学3年生の11月。塾から帰ってこない息子から、

「成績を上げられなくて、ごめんなさい」

 というLINEが入りました。ただごとではないと感じ、すぐに電話をしましたが、出ません。
半ばパニックになりながら、スマホのGPS機能で息子の場所を捜すと、塾の近くにある6階建てのビルの屋上にいることがわかりました。
すぐに駆けつけると、息子が手すりにもたれて下を見ていました。

「こっちに来なさい!!」

 怒鳴る私の声を聞き、息子はわれに返ったようでした。

「ごめんなさい、ごめんなさい、もう許してください」

神童に「過度の期待」 子供の自殺未遂で気づいた親の愚かさ
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/16064606/