認知症、一律車免許取り上げに不満 「個人の能力で評価を」の声

 認知症の恐れがある75歳以上の自動車運転免許保有を規制する改正道交法が2017年に施行されたことを受け、
認知症の人と家族の会(京都市上京区)は、社会的支援の充実を国に求める声明を発表した。高齢者による車の事故が社会問題化し、
認知症への風当たりが強まる半面、認知症をひとくくりにして免許を取り上げる手法には不満の声も上がる。
認知症の高齢者に寄り添ったきめ細かな施策が求められる。

 改正道交法は、75歳以上が免許更新時などに受ける検査で「認知症の恐れ」があると判定された場合、医療機関の受診を義務付けた。
認知症と診断されれば、免許取り消しか停止となる。

 だが、認知症の高齢者や家族の思いは複雑だ。

 京都市北区の会社員女性(58)は16年、認知症の義父(74)に免許を返納するよう求めた。義父は「忘れっぽくはなっているが、
運転は十分できる」と激怒した。女性からみても義父の運転に特に異常はなかったが、「事故が起きてからでは遅い」と説得を重ね、
17年に返納させた。

 改正道交法の施行について、女性は「免許を返納する一つのきっかけにはなる」と受け止める。一方で、認知症の人すべてが
正しい運転ができないとは思わない。「もう少しきめ細かい判断基準があってもいいと思う」と話す。

 公共交通機関の整備が不十分な地域では、免許の返上は死活問題に関わる可能性がある。認知症の人と家族の会が昨年1〜2月に
全国の介護者を対象に実施したアンケートでも「バスが少なく、通院に困る」「買い物ができない」などの声が寄せられた。
免許返納について、「本人が納得しない」「生活に支障が出ている」との回答を合わせると過半数を占めた。

 また、認知症の高齢者の20%が現在も免許を持っており、「事故を起こした経験がある」は15%、「危うかったことがある」は11%だった。
認知症の人と家族の会によると、これらの数値は認知症を発症していない高齢者と比べて特に高いとは言えないという。

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