若年層を重視する安倍政権(大機小機)

通常国会が始まった。安倍晋三首相は施政方針演説で、全世代型社会保障や教育無償化に力点を置いた。いずれも若年層に光を当てたものだ。

なぜ首相が若年層を重視するのか。ひとつ考えられるのは、若年層での内閣支持率や自民党支持率の高さだ。日本経済新聞の直近の世論調査で参院選の投票先を聞くと、18〜39歳は自民党が50%なのに立憲民主党は5%どまり。

内閣支持率も18〜39歳は6割台で不支持率の3倍。60歳以上の支持と不支持が4割台で拮抗するのと対照的だ。

若年層の政権支持の背景と思われるのは、生活に対する満足度だ。内閣府の調査によれば、20歳代の生活満足度はバブル期の1986〜88年には平均で65%あまりだったが、直近の2016〜18年には80%を上回った。30歳代も同様な傾向を示している。

一方、60歳以上の満足度は30年前に比べわずかだが低下した。その結果、今や若年層の生活満足度が高齢層を上回る逆転現象が起きている。

人生百年時代を迎え、定年後の生活に不安をおぼえる高齢者も多い。半面、就職氷河期を我が事として経験した若年層は、就職環境の好転を実感しているといえよう。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4065886030012019EN2000/