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中国の元外交官で豪州国籍の作家 中国で拘束される

中国の元外交官で、現在はオーストラリア国籍の作家の男性が、中国を訪問し
たところ身柄を拘束されていたことがわかり、オーストラリア政府は、中国側
に拘束の理由を明らかにするよう求めています。

拘束されたのは、中国の元外交官で、退職後にオーストラリア国籍を取得した
作家のヤン・ヘンジュン氏です。

ヤン氏は、アメリカのニューヨークを出発し、今月19日に中国の広州に到着し
たあと連絡がとれなくなっていましたが、オーストラリア外務貿易省によりま
すと23日、中国当局から北京にあるオーストラリア大使館に「ヤン氏を拘束し
た」との通知があったということです。

オーストラリア外務貿易省は中国政府に対し、拘束の理由を明らかにするとと
もにヤン氏との面会を認めるよう求めています。

ヤン氏の知人でシドニー工科大学の馮崇義准教授は、NHKの取材に対して、
「ヤン氏は、空港で待ち構えていた中国当局者数人に連れ去られ、その日のう
ちに北京に連れて行かれたようだ」として、中国当局があらかじめ拘束する計
画だった可能性があるとの見方を示しました。

ヤン氏の拘束について中国外務省の華春瑩報道官は23日の記者会見で「状況を
把握していない」と述べていました。

「妨害に遭い、これまでのような中国批判できず」
ヤン氏の友人でシドニー工科大学中国研究センターの馮崇義准教授は、地元メ
ディアの取材に対し、「ヤン氏は、ここ2、3年、中国当局の妨害に遭い、こ
れまでのような中国批判ができず、本の出版もできない状態だった」と述べま
した。

ヤン氏は、去年12月30日に自身のブログに投稿した文章のなかで、中国の外
交官として西側諸国に赴任した20年近くの経験などを振り返ったうえで、「西
側諸国の法律や経済、社会には制度上、つけいる隙が多い。その隙につけいっ
て利益を得ているのはことごとく中国人だ」などと書き記し、中国による知的
財産権の侵害を暗に批判しています。

また、中国の改革開放から40年となった去年12月18日に投稿した文章では、
「改革開放の精神は、思想の解放にある。言論の自由を弾圧するようなやり方
は歴史を逆戻りさせるだけだ」と指摘したうえで、「改革開放の失敗が生み出
した絶対的な権力者や高級幹部、富豪といった利益集団を排除してはじめて改
革開放は継続できる」と中国共産党指導部を批判しています。
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190124/k10011788931000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190124/K10011788931_1901240521_1901240618_01_02.jpg