ファーウェイCFO逮捕を巡り、全面対決になっている米中関係。極限まで冷え込んだ両国関係について、中国側で“変化”の兆しが現れている。

対米主戦論からの転換
「北朝鮮との関係強化を進めるが、一方で慎重でもある。貿易摩擦を抱えるアメリカとの関係を悪化させたくない」

金正恩北朝鮮労働党委員長による4度目の中国訪問が進行中の1月8日、中国・天津での会議で一緒になった姜龍範・天津外国語大教授の発言を聞いて「おやっ」と思った。

台湾との政府高官の相互訪問を認める「台湾カード」まで切って中国との全面対決を煽るトランプ政権に対し、金委員長訪中は北朝鮮との親密な関係をアピールする「絶好の機会」のはず。
だが中国指導部は2018年12月1日の米中首脳会談の直前、アメリカとは「対抗せず、冷戦をせず」と超柔軟姿勢で臨む新方針を決定したという。

背景には「中国には全面的に対抗する力はない」とする習近平国家主席の認識がある。

2018年の夏には「対米主戦論」が支配的だったが、トウ小平が主唱した「韜光養晦」(とうこうようかい:能あるタカは爪を隠す)論が息を吹き返している。

「対抗せず、冷戦せず…」の新方針
対米配慮について先の姜教授がさらに説明する。

「トランプは去年、北朝鮮の非核化が進まないのは、『中国が非協力的になったためだ』と批判したことがあります。
近く開かれるはずの2回目の米朝首脳会談で、トランプが成果を挙げられなかったとみた場合、非難の矛先が再び中国に向くリスクがある。そうなれば対米貿易摩擦の協議にもマイナスになる」

中国にとって最優先課題は対米関係の改善であり、中朝関係はそれに従属する副次的課題になっているというのだ。
姜教授によれば、2018年の北朝鮮建国70周年に習主席が平壌を訪問しなかったのも、「関係緊密化の印象を避けるためだった」という。

香港メディアなども報じた方針は、核心利益は守る「底線」(レッドライン)を設けているものの、アメリカとの全面衝突の回避が基調だ。

「アメリカに対抗する力ない」中国指導部は対米方針を柔軟路線に転換。ファーウェイは「核心利益」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190118-00010000-binsiderl-int