2018年末、名古屋市のコンビニで、女性店員(31)に土下座させようとした40代の男性客が逮捕された。東海テレビによると、1万円札で会計したところ小銭を先に渡され、「紙幣を渡してくれないと思った」からだという。

コンビニでは、同年9月にも同様の事件が起きている。北九州市のコンビニで、30代の男性が女性店員(18)に土下座を強要し、11月に強要と威力業務妨害の疑いで逮捕されているのだ。

ネットからは、「弱い者にしか強い態度が取れないのか」「店に迷惑かける客は疫病神か、貧乏神」など、怒りの声があがっている。

●カスハラに「謝りつづける」が半数、状況は変わるか?

数年前から「モンスタークレーマー」という言葉はあったが、最近はさらに、客からの暴言や暴行などが「カスタマーハラスメント」(カスハラ)と呼ばれ、問題視されている。

労働組合「UAゼンセン」が2017年、約5万人にアンケート調査したところ、およそ3万5000人(70.1%)の労働者が客から迷惑行為を受けたことがあると答えた。そのうち、4.2%は土下座を強要されたこともある。

しかし、迷惑行為を受けた店員のうち、約半数が「謝りつづけた」という。カスハラは恐喝や脅迫、強要などの犯罪に該当することもあるが、事件化するものは限られている。

ハラスメント問題にくわしい新村響子弁護士は、「『お客様は神様』のかげで、見過ごされることが多かったということでしょう」と話す。上司に相談しても、取り合ってくれないということも珍しくないという。●カスハラへの方針明確なら働きやすくなる

UAゼンセンのアンケートでは、非正規労働者の場合は特に「毅然とした対応」が取りづらい可能性が指摘されている。理由として、トラブル対応への研修不足などが考えられるそうだ。

「企業がカスハラに対する基本的な方針を示してくれるだけでも、問題客に対するプレッシャーになりますし、労働者にとっても働きやすい職場になると思います」

なお、カスハラ対策をめぐっては、厚労省が企業に対するガイドライン(指針)をつくる予定になっている。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190119-00009125-bengocom-soci