ヒゲを理由に人事考課を下げられたとして、大阪市営地下鉄(当時)の運転士だった男性2人が市に慰謝料など約450万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は16日、44万円の賠償を命じた。
 内藤裕之裁判長は「ヒゲは個人の好みで、考課にまで影響させるのは市の裁量権を逸脱し、違法」と述べた。

 訴状によると、2人は50歳代で、運転士として10年以上ヒゲをはやして勤務。所属する市交通局(当時)では2012年、「ヒゲはそること」とする内規が設けられ、
2人は13、14年度の考課(5段階)で1人が2年連続最低ランク、もう1人は2年連続で下から2番目とされた。

 内藤裁判長は判決で、「ヒゲが威圧的な印象を与え、社会に広くは受け入れられておらず、内規に一定の合理性はある」としつつも、人事考課にまで反映させる対応は違法と指摘した。

 市営地下鉄は18年4月に民営化されて大阪メトロとなり、ヒゲを禁止する規定はなくなった。2人は現在、鼻下とあごに整えたヒゲをはやして勤務している。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20190116-OYT1T50085.html