マジックに世界大会があると言うことをご存じですか?
競技マジックの世界について、現在IT企業に勤めるかたわら世界各国の大会に出場しているマジシャン、
菰原裕(こもはら・ゆう)さんに教えてもらいました。
――マジックの世界大会とはどんなものですか?
3年に1度行われる世界大会「FISM」は、マジックのオリンピックと呼ばれています。2018年はちょうど
開催年にあたり、韓国・釜山で大会が行われました。プロアマ問わず自分の腕を試したい人が集まって、
1週間近くに渡りいろんな競技が行われます。
期間中はコンテストだけでなく、世界トップのマジシャンによる勉強会が開催されたり、各国のマジックショップが
集まってグッズを販売したり、お祭りのような雰囲気です。
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――どうやったら世界大会へ出場できるのですか?
日本の場合、まず国内選考会があります。前回は東京で2回、三重で1回ありました。そのうちどれかの選考会で
通過すると、日本代表に選ばれて、地域予選(アジア予選)にエントリーできます。
この地域予選である程度以上の成績を残せば、ついに本戦への参加が認められます。今回は日本から、あわせて
10人くらい本戦に参加しました。
――世界大会ではどういうマジックで戦うのですか?
ステージマジックとクロースアップマジックの部門に大きく分かれており、それぞれの中でさらに細かな部門があります。
ステージマジックでイメージしやすいのは、イリュージョン部門でしょうか。人体切断や空中浮遊といった、大仕掛けの
マジックで技を競います。あとは鳩出しとかもステージ部門ですね。
クロースアップマジックは、テーブルを使って見せる、少人数を対象にしたマジックですね。カードマジックの部門などがあります。
(略)
――印象に残っているマジシャンはいますか?
昨年(2017年)岐阜で行われたFISMアジア予選で、蝶を出したマジシャンですね。ステージの部門だったのですが、
空中に何匹もの本物の蝶が出現するという手品でした。出てきた蝶は会場内にそのまま自由に飛び立っていったのですが……。
演技の直後、「蝶を見つけた人はスタッフまでお知らせください」とアナウンスが流れ、スタッフ総出で虫取り網を持って
会場を駆け回る大騒ぎになりました。
実はこの蝶、中国から密輸入されたものだったんですよ! もちろん、そのマジシャンは失格になりました(笑)。
もう一人は、イタリアのコンベンションで出会ったマジシャンです。普段はかわいらしい女の子なんですが、演技では
お化けのかぶり物をして登場するんです。鎖を身体中から生やしまくったり、手に持っている大きな手鏡をたたき割ったり、
かぶり物のお化けの目が動き出したり、初見で「お近づきになりたくない」と思いましたね。
ほかにも、馬頭琴を宙に浮かしたりヤギを出したりする中国人2人組とか、舞台上に出現した5メートルくらいの神を鳩で倒す台湾人とか……
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