スルガ銀行(静岡県)が、台所や風呂を共有する賃貸住宅「シェアハウス」の投資者に不適切な
融資をした問題を受け、東京都足立区は23区初のシェアハウスの実態調査を実施した。この結果、
区内にはシェアハウスが313棟あり、少なくとも約70棟は、すでに経営破綻した「スマートデイズ」が
管理していた女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」だったことが確認された。

 区は今後、経営が行き詰まったシェアハウスを手放すオーナーが増え、生活保護受給者らを
入居させ、保護費をピンハネする「貧困ビジネス」や違法民泊に転用される可能性があるとみて
警戒を強めている。

 区によると、調査は5月から10月にかけて実施。区職員が建物の状況を確認したほか、専門家に
委託して家賃や間取り、入居率などを調べた。その結果、区内には未完成の9棟を含め
計313棟のシェアハウスがあり、このうち94%の物件でスルガ銀行が抵当権を持ち、融資に
関わっていたとみられることが判明。スマートデイズが管理していた物件が、少なくとも
約70棟あることもわかった。

 完成した304棟では、1棟あたり平均12室があり、1室あたりの面積は同7・25平方メートル。
入居率は同約4割で、家賃は3万〜4万円、共益費は1万〜2万円だった。約4割では管理者が
確認できなかった。

 建築基準法などに違反するケースはなかったが、部屋に収納スペースがなかったり、駐輪場や
ゴミ置き場が確保されていなかったりする建物も数多く確認されたという。

 区は今後、資金繰りが厳しくなったオーナーが物件を手放すケースが増える可能性があると
みている。調査結果を不動産業者と共有し、「違法民泊への転用など不適切な使用が疑われる
場合は、速やかに立ち入り検査などができるよう状況把握に努める」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181108-OYT1T50029.html