[台北 29日 ロイター] - 台北にある淡江大学の1年生に向けて入隊を呼びかける台湾空軍Jiang Pin-shiuan軍曹の
口上はとても魅力的に思える。軍に入隊すれば、政府が支援する学位が取得できるほか、毎年110日間の休暇と
年間31万2500台湾ドル(約113万円)がもらえるというのだから。

だが、軍曹の話を聞いている学生の多くはほとんど関心を示さない。兵役は「時間の無駄」で、一段と圧力を強める
中国に対して台湾が経済的もしくは軍事的に立ち向かう可能性は低い、と彼らは主張する。

「中国は経済力で台湾をつぶしにかかることができる。戦争なんて必要ない。カネの無駄だ」と、エンジニアリングを専攻する
18歳のChen Fang-yiさんは話す。「軍への信頼も期待もほとんどない」

台湾全土の大学や高校で講演を行ったり、等身大の踊る人形や特殊部隊による「フラッシュモブ」パフォーマンスを
披露したりするなど、台湾軍は兵士を採用するのに必至だ。長年、徴兵制を敷いてきたが、完全志願制へと移行するからだ。

台湾は2011年、コスト削減と軍のプロ意識向上のため、徴兵制を段階的に廃止すると発表した。強化されたサイバー戦
能力と他のハイテク兵器を駆使して、中国からの脅威に対抗しようとしている。

台湾の国防部(国防省に相当)によると、中国から攻撃を受けた場合に必要とされる推定18万8000人の志願兵のうち、
81%の入隊は年末までに達成可能だという。また2020年までには、達成率を90%に上げたいとしている。

中国は台湾について、言うことを聞かない自国の省と見なしており、服従させるには武力行使も辞さない構えだ。

しかし台湾軍の採用活動は容易でないことが証明されつつあり、志願兵の採用ペースは、悪化する中台の軍事的不均衡を
解消するには十分ではない、と軍事専門家や政府監査官は指摘する。

中国が公式に発表した昨年の防衛予算は、台湾の約15倍に相当する。台湾周辺で爆撃機を飛行させたり、
これまで台湾と外交関係を結んでいた国々を引き抜いたりすることで、中国は台湾に警告している。

昨年12月のリポートの中で、政府監査官3人が志願兵採用ペースは遅いと警鐘を鳴らし、台湾の戦闘能力について懸念を提起している。

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http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1811/02/news104.html