5年次は自由に就職活動

 基本は、学生に選択と判断の自由を保障することが前提であるので、在学時からの就活を年次で禁止することはしてはいけないと筆者は考えている。
しかし、もし具体的な目安がどうしても必要なのであれば、大学を5年生(修士では7年生)までとし、学業は4年(同6年)次までに修了し、
5年(同7年)次は学費無料で大学に籍だけ残し、自由に就職活動を行うことを原則とするのはどうであろうか。
政府は将来的に70歳までの雇用延長を企業に義務づけるので、大学の1年の延長は大きな問題ではないだろう。
生涯所得が減るという指摘もあるが、これは、いったん就職すれば定年まで一定の給与が保証されることを前提にした論であり、
これからは自分の価値をいかに上げていくかを考えることが重要になる。

理系であれば、4年(同6年)間で今以上に十分な先端的な専門知識を学べるのではないか。
文系はどうかというと、営業職中心は変わらないので、依然として専門知識の修得の意味は例外的にしか重要性を持たないといえそうである。
そして、今の文系大学では変化の早い世界の最新の動き、特にデジタルテクノロジー革新とその影響を学ぶことはできないので、大学の講義に100%集中する必要はなく、
自己学習、留学、長期インターン(結果として、採用内定につながっても構わない)などを積極的に組み合わせて、4年間で体験学習によって自己判断ができるようになり、
選択肢を増やし、社会変化への感度を上げ、タフになることに努めるのがよいのではないか。
 現在のインターンは長期化する傾向にあるが、大学よりも学ぶことが多いと言う学生は多い。このことを大学は真摯に受け止めるべきであろう。
可能であれば、学生として自分の価値をいかに上げるかに4年間集中し、その後の1年で、その価値を企業にいかに評価させるかに集中するほうが、人生における効果は高いといえよう。

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

大学、5年制案…ラスト1年は学費無料で就活に専念、企業はスキル別採用
https://biz-journal.jp/2018/11/post_25341.html