米財務省が先月20−21日に韓国の複数の銀行と直接接触し「北朝鮮に対する金融協力は米国の政策と一致しない」「深く懸念している」などの強い表現で警告していた事実が21日までに文書で確認された。
国会政務委員会所属で保守系野党・自由韓国党の金善東(キム・ソンドン)議員によると、韓国金融委員会が各行における会議の結果を取りまとめ、今月10日に作成した極秘文書にこのような内容が記載されていたという。

 この文書によると、当時米財務省テロ・金融情報担当の関係者が韓国国内の銀行7行の本店に勤務するマネーロンダリング防止担当役員などに電話をかけ「韓国の金融機関が北朝鮮での支店営業再開、そして南北経済協力を支援するためのタスクフォース(特別作業チーム)立ち上げなどの準備を行っていると報じられた」と指摘した上で、これらを確認したい意向を伝えてきたという。

 この財務省関係者はさらに「最近の公式発表やニュースなどで取り上げられている北朝鮮に対する金融支援の再開は、米国の政策と一致しないだけでなく、国連および米国の対北朝鮮金融制裁を順守すべき銀行の義務について誤解していないか深く懸念もしている」などとも警告してきたという。
この財務省関係者は「米国政府は北朝鮮が完全な非核化を達成するまであらゆる手段を動員し、北朝鮮に対する制裁を続けていく」と改めて明言したようだ。

 2012−17年に米法務省とニューヨーク金融監督庁が金融機関に対して行った7件の制裁を分析したところ、今回のような米国の動きは今後、韓国の銀行に対する本格的な制裁につながる恐れがあると金善東議員は指摘する。
過去には制裁対象となった国の企業との取引など、明らかな違反行為があった場合にのみ金融機関への制裁が行われたが、ここ2−3年はアジアの複数の銀行に対して「内部統制の仕組みが不十分」との理由でも制裁が行われていたという。
具体的には「疑わしい取引に関する報告の不履行」「担当者の専門性欠如」「関係する内規が不十分」などだ。

 昨年12月には韓国農協のニューヨーク支店も「マネーロンダリング防止義務違反(内部統制システムが不十分)」との理由で1100万ドル(現在のレートで約12億4000万円)の罰金支払いが命じられた。
北朝鮮企業との取引が実際に行われたわけではないが、それでも「違反の可能性がある」と判断されただけでその銀行が制裁を受けることを示す事例だった。
金善東議員は「金融機関が制裁を受けないようにするには、根本的な対策を早急に取りまとめる必要がある」と指摘している。

http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2018102200691