児相計画 南青山ぎくしゃく 一部住民「おしゃれな街に不似合い」


東京都港区が南青山に建設を予定する児童相談所(児相)の計画が揺れている。一帯は高級ブランド店が軒を連ねる都内の一等地。
後を絶たない児童虐待などに対応する児相の必要性は高まっているが、一部住民が「おしゃれな街に似合わない」などと反発しているのだ。
専門家は「児相の役割をしっかり住民に説明するべきだ」と指摘する。

「世界的に有名なファッションの情報発信地の青山に児相は違和感がある」「非行の少年を預かる施設とは聞いていなかった。不安だ」。
今月十四日、南青山にある区立青南(せいなん)小学校で区が開催した説明会では、批判的な意見が相次いだ。

児童虐待が急増する中、二〇一六年に児童福祉法が改正され、東京二十三区が新たに児相を設置できるようになった。
これを受けて港区は昨年二月、「子ども家庭総合支援センター(仮称)」の建設を発表。児相とともに、虐待を受けた児童や非行少年を緊急的に保護する一時保護所などの機能を併せ持つ。

区は二〇二一年四月の開設を目指し、工事費約三十二億円を見込む。既に農林水産省の宿舎があった国有地約三千二百平方メートルを約七十二億円で購入。
現在は広大な空き地になっている。周辺には海外の高級ブランド店やカフェなどが多く、買い物客らでにぎわう。

昨年十二月の住民向け説明会の参加者は七人だった。ところが今年夏、建設計画を知った住民らが区に説明を要求。
区が今月十二日と十四日、あらためて説明会を開くと、二日間で延べ百七十人以上の住民らが参加し、それぞれ二時間近くに及んだ。

反対住民でつくる「青山の未来を考える会」の佐藤昌俊副会長(63)は「他の区有地を検討したかも不明。南青山が適地と言われても納得できない。
説明がなく突然、計画を知った住民がほとんどだ」と話す。

区の担当者は「施設には広大な土地が必要で、他に適地がなかった」と強調した上で「青山だから児相をつくってはいけないとは考えていない。
地域の理解を得られるよう説明を続けたい」と理解を求める。

愛育クリニック(港区)小児精神保健科の小平雅基部長は児童福祉法改正の際、行政向けに児相設置のためのマニュアルを取りまとめた。
今回の騒動について「虐待は誰にでも起こり得る問題で、街中にこそ児相が必要だ。問題がある児童や家庭を地域から分離、孤立させてはいけない。
行政は、児相の役割や実態をしっかり住民に説明するべきだ」と訴える。

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