羽田空港の発着便を増やすべく、国が新たに設定した空路を巡ってバトルが勃発している。
松濤・青山・代官山・白金・御殿山など、都内屈指の高級住宅街が軒並み、
飛行機の騒音に悩まされることになるからだ。米国の実例から試算してみると、
例えば代官山や白金では最大25%もの価格下落が起きる可能性がある。

松濤・青山・代官山・白金・御殿山――東京都心の閑静な高級住宅街やタワーマンションの
数百メートル上空を飛行機が通過することになり、地域住民たちは騒然としている。

発端となったのは、羽田空港に新たな空路が設定されたこと。訪日外国人の増加や2020年に
控える東京オリンピック・パラリンピックへの対応、首都圏の国際競争力強化などを目的として、
深夜・早朝時間帯を除いてフル稼働している羽田空港の発着便を増やすことになり、
これまで空港の東に位置する東京湾側から離着陸させてきた空路に加え、新たな空路が設定された。

これによって、新たに発着便を合計90回程度増やせると国土交通省はもくろんでいるが、
問題はその飛行ルートだ。新ルートは、東京都心上空を飛ぶ。
天候にもよるが、飛行機は埼玉県上空で左旋回したあと、高度を下げながら
新宿・渋谷・港・品川・大田区といった都心上空を抜け、南北に延びる羽田空港滑走路に着陸する。

着陸時間帯は15時から19時のうち3時間程度に限定するとしているが、
この時間中は最大90回、2分に1回のハイペースで騒音が発生する。

新ルート開設によって、国交省が想定する地域ごとの高度と騒音レベルは以下の通りだ。
渋谷駅周辺は高度600mで最大74dB(デシベル)、五反田・品川駅周辺は高度450mで76dB、
大井町駅周辺に至っては高度300mで80dBとなる。

70dBといえば、「電車の車内」「掃除機の音」「ステレオ」(正面1m、夜間)「騒々しい事務所の中」といったイメージ。
80dBともなると「地下鉄の車内」「ボーリング場」「交通量の多い道路」「機械工場の音」などと同等であり、
日常会話がかき消されてしまうほどうるさい。
https://diamond.jp/articles/-/182719