「李洛淵(イ・ナギョン)首相、フェイク(偽)ニュースとの戦争を宣戦布告」(韓国YTNニュース)。
韓国政府が、過激化の一途をたどるインターネット上のフェイクニュースに対し本格的な対策強化に乗り出した。
きっかけとなったのは、首相本人が北朝鮮体制に「ひれ伏した」とする、“証拠文書”付きの報道。
フェイクニュースの発信源となっている宗教団体を特定する調査報道も発表されるなど社会の関心は高いが、一方では対策強化が政権にとって不都合な報道の統制に悪用されるとの懸念も広がっている。(外信部 時吉達也)

 ■「殺人魔金正恩へのおべっか」真相は…

左派政権を支える首相が、ついに本性を現した−。そんなニュースが駆けめぐったのは9月下旬。
報じられた李首相直筆のメッセージ画像には、こうつづられていた。
「偉大だがつつましく、つつましくも偉大だった。百姓に愛し愛された主席様の前では、恐縮し自らを恥じるばかりです」

李首相があふれんばかりの敬意を表した「主席様」とは誰なのか。北朝鮮では金日成(キム・イルソン)主席の死去後、主席の地位は空席となっているが、インターネット上では孫の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対する呼称だとして画像が拡散した。
SNS上では「殺人魔、独裁者に恐縮しておべっかを使う人間が総理をやっている。韓国国民はかわいそうだ」などと政権批判が繰り返された。

このメッセージ、実は李首相がベトナムを訪問した際、同国の建国の父、ホー・チ・ミン氏の旧宅で芳名録に記されたもの。
実際の報道から写真のみを切り取り、SNSなどで拡散された。李首相は自身のフェイスブックで、「あさましいまねをしないで」と不快感をあらわにした。

https://www.sankei.com/premium/news/181016/prm1810160006-n1.html
https://www.sankei.com/images/news/181016/prm1810160006-p2.jpg