警察庁科学警察研究所の山室匡史研究員はカネカと共同で、高感度な大麻検査法を開発した。簡便迅速な検査手順で検出感度が100倍向上した。
10フェムトグラム(フェムトは1000兆分の1)レベルの大麻草のデオキシリボ核酸(DNA)を検出可能。袋に付着したわずかな粉状の試料も検出できた。
証拠隠滅に燃やされたり、茎や根などの幻覚成分を含まない部位しかなかったりしても鑑定しやすくなる。大麻による検挙者の増加が社会問題化する中、捜査を高度化する。

 大麻草からDNAを抽出し、DNAを増幅する「PCR法」で、大麻の品種や産地などと関係ない遺伝子配列を増やす。これを遺伝子検査キットで検出する。3時間以内で結果が分かる。

 検査対象の遺伝子配列は、植物であることの確認が1配列、大麻であることの確認を2配列で判定する。
幻覚成分の収穫量を増やす一般的な品種改良では変化しない配列であり、検査逃れのための品種改良は費用対効果が合わない難しさがあるという。
微量なDNAを判定でき、性能は本鑑定に使えるレベルにある。タバコに1%だけ混ぜられた大麻も検出できた。

 大麻事件の捜査の多くは大麻草の形態的特徴を識別すれば対応でき、DNA検査は不要なことが多い。
だが燃やされて証拠がわずかしか残っていない場合や、根や茎の一部などの栽培痕跡から捜査する場合に新手法が役に立つ。
遺伝子検査キットはカネカが事業化を進めており、全国の警察機関が利用できる環境が整う。

 警察庁によると2017年の薬物事犯の検挙は1万3542人と、近年横ばいが続いている。一方で大麻の検挙は3008人と過去最多となった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181014-00010001-newswitch-bus_all