ベルギーが11月に電力危機に陥る懸念が浮上している。
国内電力需要の約5割を賄う原発7基のうち、6基が修繕や点検作業で運転停止するためだ。
政府は未利用の火力発電所の稼働や隣国からの輸入などを検討。
国民生活への影響が大きい計画停電の回避へ綱渡りの対応を迫られている。<下へ続く>

 ベルギー政府は2025年までにすべての原発の運転を終えることを計画。
ただ、代替電源への転換は進んでおらず、運転開始から33〜43年が経過した老朽化原発に依存するひずみが表面化している。

 ベルギーの送電を担うエリア社は9月26日、「160万〜170万キロワットの追加電源を確保できなければ、計画停電せずに安定供給を保証することはできない」と発表した。
同国では近年、原発のトラブルが続出しているが今回の事態は「前例がない」と危機感は強い。

 ベルギーでは、北部のドール原発4基と南部のティアンジュ原発3基をフランスの電力大手エンジーの子会社が運営。
現在、50年への運転期間延長に向けた準備や、配管の水漏れ、コンクリート劣化などに伴う修繕・検査で5基が停止している。

 当初は4基が9〜10月に再稼働する予定だったが、エンジーは稼働時期が12月や来春にずれ込むと相次いで発表。
約300万キロワットの電力供給が見込めなくなった。
さらに10月半ばから新たに1基が止まる予定で、暖房需要の高まる11月に稼働する原発は一時的に1基だけとなる。
マルゲム・エネルギー・環境・持続的開発相は「とてもショックだ」と同社への不快感を示すが、対応が後手に回った政府への風当たりも強い。
 慌てた政府は、停止している火力の運転や節電の見返りに対価を払う契約の活用などで75万キロワットの電力を確保できると説明。
送電網がつながるドイツ、フランス、オランダにも協力を求めた。
エンジーは原発1基の再稼働を11月中旬に前倒しする方向だが、電力不足の懸念が依然くすぶっている。

原発停止で電力危機懸念=計画停電回避へ綱渡り−ベルギー
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018093000375&;g=int