豊洲市場(東京都江東区)への移転に伴い来月6日に83年の歴史に幕を下ろす築地市場(中央区)で、ネズミの掃討作戦が進んでいる。
解体工事によって隣接する商店街「築地場外市場」や約1キロ離れた銀座地区などに逃げ込むのを防ぐためだ。
都は板などを使い包囲するが、ネズミは小さな隙間(すきま)をすり抜けるのが得意で、周辺の飲食店や住民からは不安の声も聞かれる。

◇捕獲かご、粘着シート、殺そ剤など3500万円
 「ネズミが流れて来ると、街のイメージも悪くなり、商売に影響する」。
場外市場で水産物店を営む男性(74)は心配そうに話す。
数年前には、築地市場から子猫ほどの大きさのネズミが出てくるのを見たこともあるという。
 ネズミが嫌われるのは、病原菌やウイルスをまき散らしたり、電線をかじって停電や火災を起こしたりするためだ。
住宅にすみ着くと、ネズミの足音で眠れなくなる人もいる。

築地市場の水産卸・仲卸売り場では、魚を好物にする「ドブネズミ」が下水管で暮らし、
青果卸・仲卸売り場の天井裏には果物や穀物を好む「クマネズミ」がすむ。都は「1万匹はいない」と推測するが、
東京ドーム五つ分(約23ヘクタール)の広さがある市場内に何匹が潜んでいるのか把握できていないのが実態だ。

 来月11日に始まる解体工事ですみかを失えば、新天地を求めて大移動することも予想される。
泳ぎの得意なドブネズミが市場に面した隅田川を渡り、
マンションやオフィスビルが林立する対岸の勝どき地区に移動するとの臆測も広がる。

 都は今年度、約3500万円を投じ、
捕獲かご600台、粘着シート4万枚、殺そ剤300キロなどを使った過去最大規模の掃討作戦を始めた。
人けがなくなってネズミの動きが活発になる連休に合わせて、排水溝沿いに粘着シートを敷いたり、毒入りの餌をまいたりした。
警戒心が強いため、最初は無害な雑穀などを並べて餌の在りかを覚えさせてから、毒入りに替える工夫もした。
これまでに約1800匹を駆除し、次第に捕獲数は減っているという。

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