<社説>本土反対で基地集中 差別的押し付けは明白

「沖縄の米軍基地には軍事的合理性がある」という「神話」の化けの皮が、またはがれた。

石破茂元防衛相が自身のホームページで、沖縄に基地が集中した理由について、本土の反基地運動を恐れたためとの趣旨の発言をしていた。

防衛に精通する政治家の言葉だから、真実味がある。政府が主張してきた地理的優位性や軍事的理由など、在沖米軍基地の存在根拠が乏しいことが明らかになった。

政府は辺野古新基地の建設をすぐに中止すべきだ。代わりに、県外移設を推し進めていくことを強く求める。
石破氏は自民党総裁選に向けた特設サイトで47都道府県別の動画を掲載している。

「沖縄県のみなさまへ」として、こう述べていた。
「反米基地運動が燃え盛ることを恐れた日本と米国が、当時まだ米国の施政下にあった沖縄に多くの海兵隊部隊を移したからだ」
「本土から沖縄に基地が集約する形で今日の姿ができあがった。このことを決して忘れてはならない」
まさに、その通りである。

沖縄が米統治下にあった1956年に岐阜、山梨両県から海兵隊第3海兵師団が移転してきた。
69年には山口県岩国基地から第36海兵航空群が普天間飛行場に移転した。
いずれも本土で米軍の事件、事故が頻発し、住民の反対運動が激しくなったからだ。

沖縄は各種世論調査で、普天間飛行場の県内移設に7〜8割が反対している。他府県の反対意見は聞くが、沖縄の声は無視して辺野古に新基地建設を強行するのは、差別以外の何物でもない。

同じ国民でありながら異なる扱いをするのは、民主主義に反する二重基準である。
ただ、石破氏はこの発言が報じられた後、沖縄への基地集中理由の部分の動画を削除している。
「決して忘れてはならない」と国民に理解を呼び掛けておきながら消してしまったのは、選挙目当てだったのか。沖縄の基地問題に向き合う姿勢に疑問が残る。

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-803900.html
続きます