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電力から牛乳まで…「北海道地震」の巨大影響
突然の全域停電、乳製品の生産もストップ

(略)

今後大きな影響が出そうなのが食品関連、特に牛乳などの乳製品だ。

北海道の釧路と茨城県の日立をピストン輸送する大型貨物船「ほくれん丸」は今夜、釧路を出港予定。
ただ、積み込みができたミルクタンクは5日集荷した分のみ。6日は集荷ができないでいた。7日以降、集荷できるかどうかは未定。
生乳は日立港に着くと、関東地方の乳業メーカーの工場で殺菌処理されて牛乳になる。生乳は搾ってから3日目には乳業メーカーに届ける必要がある。

北海道で生産される生乳のうち、1割超は道外に輸送されており、その主力はほくれん丸だ。
ピーク時には1日100万リットル、1リットルの牛乳で100万本を運ぶ。
9月は学校給食が再開するため、生乳の需要も増える。

停電により酪農家が搾乳できないうえ、生乳を各酪農家で冷蔵することもできない。
酪農家の冷蔵タンクには1〜2日分は保存できるが、電気がなければ冷やせない。
自家発電で電気を確保している酪農家もあるようだ。

搾乳は1日2回する必要があり、停電が続き搾乳できない状態が続くと、乳牛の健康状態が懸念される。
酪農家から集めた生乳は、船に乗せる前に専用の冷蔵設備であらかじめ冷やしておく必要があるが、そのためにも電気の本格復旧が欠かせない。

明治は北海道にある7工場で停電のため生産を停止中。
十勝帯広工場は閉鎖予定のためそもそも動いていなかった。「詳しい状況はわからないが、生乳の受け入れが出来ない状況。通電して状況を確認しないと、今後の見通しはわからない」(広報)。

雪印メグミルクも、北海道にある7工場は停電のためすべて停止している。いずれの施設も建屋の崩壊などの被害はない。
復旧はいつになるかわからず、生産への影響の度合いも見通せていない。
首都圏の工場では北海道産の生乳も使っているが、当面はバター・チーズなどの加工品向けより、飲用向けに優先的に振り向ける方針だ。

突如起きた巨大地震。日常の生活を取り戻すには時間がかかりそうだ。