北朝鮮がまた、きな臭くなってきた。
 6月の米朝首脳会談後、「北朝鮮の核廃絶」に向けた進展が、ほとんどない状況だった。ドナルド・トランプ米大統領も、中国やトルコとの貿易戦争などで
忘れているようであったが、ここにきて動きが出始めた。
 手詰まりの状況を打開しようと、マイク・ポンペオ国務長官が8月末に訪朝する予定だった。ところが直前、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党
委員長の最側近、金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長から「米国が平和条約締結を話し合わねば非核化はやらない」との書簡を受け取った。
 驚いたポンペオ氏が、それをトランプ氏に見せたところ、その場で訪朝中止が決定された(8月24日)。ポンペオ氏が平壌(ピョンヤン)に向けて出発する、
わずか数時間前の出来事だった。

 ここで2つのことが改めて明らかとなった。
 1つは、あくまでも「北朝鮮の非核化」を優先する米国と、何としても「朝鮮戦争の終戦宣言」が欲しく、核申告リストとの同時交換を狙う北朝鮮の姿勢である。
「どちらが先に折れるか」ではなく、圧倒的に米国が主導権を握っていて、余裕がある。
 もう1つは、トランプ氏は、あくまでも北朝鮮を「中国とのディール(取引)」に使おうとしていることだ。
 トランプ氏は、訪朝中止を決断した際、「ポンペオ氏は近い将来に訪朝する見通しだが、その実現は、米中通商関係が『解決』してからになる」との声明を出した。
トランプ氏の標的はあくまでも中国であり、北朝鮮問題は中国へ譲歩を迫るためのツール(道具)であるとみてよい。

いかそーす
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180904/soc1809040023-n1.html