アダルトサイトのその裏で〜ネット広告不正の実態〜

インターネットのアダルトサイトを訪れた人を、ほとんど見られることのない無関係のサイトに勝手に飛ばす
仕掛けを使って、ネットの広告費を不正に横取りしようという手口が広がっていることが、NHKの取材で
わかりました。ターゲットとなった広告は、大手企業や中央省庁、地方自治体のものなど、少なくとも200に上り、
広告代理店やネット広告の配信事業者が調査を進めています。

1000のアダルトサイトで

不正な仕掛けが見つかったのは、アダルトサイトやアニメの海賊版サイトなどおよそ1000のサイトです。

こうしたサイトでは、アクセスした人が動画などを見ようとしてクリックすると、再生ページに移動しますが、
その裏で新しいタブが開き、ネットの話題やニュースなどをまとめた、「まとめサイト」が自動的に読み込まれます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180904/K10011608621_1809042026_1809042033_01_04.jpg

まとめサイトには、複数の広告が配信されていて、たとえ見られていなくても「見た」とカウントされ、
まとめサイトの運営者側に、広告料が入る仕組みになっていました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180904/K10011608621_1809042025_1809042029_01_03.jpg

ネット広告の調査会社、「モメンタム」によりますと、こうした手法は「アドフラウド」と呼ばれ、アクセスの多い
アダルトサイトを踏み台にして広告費を不正に横取りする行為だと指摘しています。

不正に使われたまとめサイトには通常、アダルトサイトには掲載されない、大手企業などの広告が配信されていて、
NHKが確認したところ、トヨタやセコムなどのほか、法務省や総務省、それに東京都など200を超えていました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180904/K10011608621_1809042053_1809042055_01_05.jpg

(略)

背景にネット広告の仕組み

こうした不正な手口が広がる背景には、ネット広告配信の複雑な仕組みが関係していると指摘されています。
現在、ネット広告で主流となっている「運用型」と呼ばれる広告は、テレビや雑誌などの広告と違って、広告主が
広告の最終的な掲載先を選ぶことができません。広告主が発注した広告は、広告代理店を経てネット広告の
配信事業者が実際の配信を行います。

広告の配信は、「アドネットワーク」というシステムを使って行われ、膨大な数のウェブサイトの中から広告を
見てもらいたいターゲットに合った配信先のサイトが自動的に瞬時に選び出され、最終的な掲載サイトが決まる
仕組みになっています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180904/K10011608621_1809042025_1809042030_01_10.jpg

サイトの運営者は、アクセス数が増えれば広告収入が増えることから、今回の手口は、アクセスの多い
アダルトサイトから自動的にまとめサイトに飛ばすことで広告の閲覧数を増やそうとしていると見られます。

(略)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180904/k10011608621000.html