自民党は29日、外国人が国民健康保険(国保)を悪用して高額な治療を少ない自己負担で
受ける問題が相次いでいることを受け、外国人が関係する医療問題の対策について本格的な
検討を始めた。日本の医療保険制度に深刻な影響を与えかねないため、自民党は今後、
加入審査の厳格化などを検討し、提言をまとめる方針だ。

 党の外国人労働者等特別委員会(木村義雄委員長)は29日、党本部で「在留外国人に係る
医療ワーキンググループ」(WG)の会合を開いた。

 以前は、国保に外国人が加入するには1年の在留期間を満たす必要があった。平成24年、
住民基本台帳法の改正に伴い、90日以上の在留資格を持てば原則的に加入が
義務付けられるようになった。

 党側によると、医療目的で来日し、本来なら国保加入の資格のない外国人が「留学」と偽って
保険を使うようなケースが目立つようになったという。また、国保加入によって一定額以上の
自己負担を免除する高額療養費制度を利用することもできるため、新型がん治療薬
「オプジーボ」の自己負担も大幅に削減されているという。

WGに出席した東京都荒川区の担当者は、29年度の区内の国保被保険者計5万4107人のうち、
外国人は17%に当たる9183人いたと報告。出産育児一時金(42万円)を受け取った外国人の
件数は105件に上り、このうち海外で出産した外国籍の加入者の申請が35件あったという。

 WGは、外国人が国保に加入する際や、加入後に高額療養費制度を利用するときに、厳正な
審査や確認を行う方策などを検討する。海外での治療費を還付する海外療養費制度や
出産育児一時金制度の不正利用を防ぐため、両制度のあり方も再検討する考えだ。
http://www.sankei.com/politics/news/180829/plt1808290026-n1.html