一般財団法人「京都府交通安全協会」(京都市上京区)が、慢性的な財政難に苦しんでいる。
ドライバー会費や府公安委員会からの事務受託料が減り、預金を崩さなければ人件費などの支出をまかなえない“火の車”の状態だ。
本来の目的である交通安全活動にも悪影響が出ており、関係者は「存在意義が問われかねない。抜本的な改革が不可欠」と危機感を募らせる。

同協会の収入源は現在、府公安委員会から請け負う事務の受託料がメインとなっている。
2018年度は運転免許証交付、更新時講習、原付講習、違反者講習など11事業を受託する。
しかし、近年は入札で民間企業と競合するケースが増え、公安委の事務を安定的に受託できなくなっており、13〜17年度は3億4千万円〜5億円で推移している。

運営を下支えするドライバーからの会費収入も減少。
運転免許試験場(伏見区)にあった勧誘窓口が04年、免許更新手続きの列から分離され、会員が大幅に減ったのが原因で、17年度の会費収入は2億2千万円と最盛期から1億円超も減っている。

単年度収入だけで職員約230人の人件費や公益事業費をまかなうことができず、預金(残高約6億1千万円)を取り崩しながら運営を続ける。
過去4年間の累積赤字は計約2億1600万円に膨らみ、数年のうちに破綻する可能性も出てきた。

同協会は経費削減のため、この4年間で正職員を53人から41人に減らし、ボーナスの1割カットに着手。
今年4月には、府内25警察署内に設置されている各地域交通安全協会(単位協会)に、計3千万円の臨時援助を要請した。
協会広報チラシの作製枚数を減らしたり、イベント告知の新聞広告を廃止したりするなど、公益事業費についても従前の8割程度に縮減している。

一方、こうした動きに関係者からは戸惑いの声も上がる。
京都市内の単位協会で役員を務める男性は「民間企業であれば、幹部が相応の責任を取らされるのが常識だ。退職金の返上などさらなる身を切る改革が必要」と指摘。
別の役員は「公益事業の実施は協会の存在意義でもあり、むやみに縮減すべきでない」と批判する。

協会は今後、公安委に受託料増額を要望するなど財政健全化の取り組みを進める。
久保博人総務部長は「協会の活動をもっとPRして、ドライバーの会費収入を増やすなどあらゆる努力をしたい」としている。
https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20180817000034