精神病床のある全国の病院で50年以上入院する精神疾患の患者数が、2017年6月末時点で少なくとも1773人に達することが毎日新聞の調査で判明した。
半世紀にわたり継続入院している患者数について公的な統計は取られていない。厚生労働省は入院患者の地域移行を掲げて削減を目指しているが、
人生の大半を病院で過ごす人たちが数多くいる実態が明らかになった。

 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)が47都道府県・20政令市を通じ、民間を含め精神病床のある病院から毎年6月末時点の患者に関する
情報提供を受けていることから、毎日新聞は各自治体に対し、センターに提出した資料を情報公開請求したほか、担当部署を取材。全国の精神病床を持つ病院の
97.7%に相当する1588病院について、1967年6月以前に入院した患者の人数を確認した。

 神奈川県は「病院との取り決めに反する」として入院年月を明らかにしておらず、同県内の病院については横浜、川崎、相模原の政令3市所管分に限って把握できたため、
人数はさらに増える可能性がある。

 判明した中で記録上最も長期だったのは長崎県の患者で、1923年11月28日に入院していた。診断をみると、明記されていた1246人のうち統合失調症が約8割を占めた。
性別は1433人確認でき、内訳は女性が758人、男性が675人だった。

 入院の形態が判明した1291人のうち、自らの意思による「任意入院」は811人。専門医の判断で家族らの同意を得て、本人の同意がなくても病院に入れる
「医療保護入院」は476人、自分や他人を傷つける恐れのある患者を知事らの権限で強制入院させる「措置入院」は4人だった。

 国立精神・神経医療研究センターは病院の現状を毎年調べており、17年は精神病床のある全国1625病院のうち1610病院から任意で情報提供を受けた。
センターによると、入院患者は計28万4172人。入院期間が20年以上の患者については集計しており、2万5932人だった。【畠山哲郎、山崎征克】

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https://mainichi.jp/articles/20180821/k00/00m/040/127000c