開拓団の「性接待」告白 「なかったことにできない」
2018年8月15日20時27分

岐阜県の旧黒川村(現・白川町)から戦時中に旧満州(中国東北部)へ
入植した開拓団の女性たちが、敗戦直後に団幹部の指示で旧ソ連兵に
「性接待」をさせられたと告白し、衝撃を与えている。
長く伏せられてきたが、「なかったことにできない」と公の場で語るようになった。

「『(夫が)兵隊に行かれた奥さんたちには、頼めん。
あんたら娘が犠牲になってくれ』と言われた」

今月10日、岐阜市民会館であった証言集会。元黒川開拓団員で、
終戦当時20歳だった佐藤ハルエさん(93)=岐阜県郡上市=が話し始めると、
空気はピンと張り詰めた。

「白川町誌」などによると、黒川開拓団は1941年以降、
約660人が吉林省陶頼昭周辺に入植した。
敗戦後、旧日本軍に置き去りにされ、現地住民らによる暴行や略奪を受け、
隣の開拓団は集団自決した。

当事者の証言によると、黒川は開拓団幹部が近くの旧ソ連軍部隊に
治安維持を依頼。17〜21歳の未婚女性15人前後を「接待」に出した。
45年9〜11月ごろだった。一時期、中国兵の相手もさせた。

都内在住の女性(90)は当時17歳。初めは飲酒の接待と思っていたという。
ふとんが多数敷かれた仕切りもない部屋で、他の女性たちと共に暴行された。

逃げようとしたこともあったが、相手にスコップの柄で打たれた。
当時のメモを書き写したノートには、「乙女ささげて数百の命守る」
「女塾で学んだ大和魂 音をたてて崩れ落(おち)る」などとある。
自分たちを差し出した大人が許せず、帰国後、旧黒川村には2回しか行っていない。

https://www.asahi.com/articles/ASL877WN3L87OIPE03B.html