安倍晋三総理は8月8日、自民党内でサマータイム導入の検討を進めるよう指示した。時事通信などが報じた。

2020年の東京五輪・パラリンピックの猛暑対策の一環として、全国一律で6月から8月の間、1〜2時間早めた夏時間で過ごすというもの。オリンピック期間が終わった後も、恒常的に実施する案も浮上しているという。

懸念されているのは、健康上の負担や経済への影響だ。奈良県庁では2012年から数年間、出勤時間を30分早める独自のサマータイム制度を実施したものの、職員アンケートで反対の声が多く、
2017年に廃止した。県庁でのサマータイム導入時、働く人たちにはどんな負担がかかっていたのか、当時を知る人に話を聞いた。

■健康な人は平気でも持病がある人には大きな負担

奈良県職員労組では、県のサマータイム導入に対し、生活サイクルの乱れなどの懸念から反対の立場を取っていた。
「時間単位の有休取得や遅出出勤の許可を要求し、県はしぶしぶ導入した」という経緯がある。同労組に所属する50代女性は当時、子育て中の職員から不満の声を聞いたという。

「保育園の預かり時間は決まっているため、8時出勤だと、子どもを預けられない職員が複数出ました。子育て中の職員は、9時まで1時間の有休を取得したり、遅出出勤として通常時と同じサイクルで働いたりして対応しました」

現在、国は、全国一律のサマータイム導入を検討している。そうなれば、保育園問題は表面上解決できるようにも思えるが、子どもの生活サイクルを変えるのは簡単ではない。

県庁での導入時も、「小学生の子どもを学童に預けなければいけないのに、いつもと違う生活リズムのため起きてくれず大変だった」「朝ごはんを急いで食べさせなくてはいけなかった」といった声を多く聞いたそうだ。

健康面での心配もある。導入時には、体調不良者を多く見たという。

「まずみんな『眠い』というのが第一ですね。それから、7月8月の2か月間の実施だと、早く出勤するリズムに慣れた頃に元に戻ってしまうので、それも大変でした。
健康な人はなんともなくても、持病のある人からは『サマータイムで体調が悪くなった』と聞きました」

国が進める導入については、「無理だと思います。そんな無茶なこと、という気持ち」と明かす。




2018.8.9
キャリコネニュース
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