【ソウル=名村隆寛】北朝鮮との融和ムードが広がり、今夏の米韓合同軍事演習が中止となった韓国で、軍の大幅人員削減や兵役期間の短縮などが決まった。

韓国国防省は朝鮮戦争の休戦協定締結から65年となった27日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に国防改革案を報告し、了承された。
それによると、現在61万8000人の韓国軍の兵力は2022年までに50万人に削減される。
削減対象は陸軍の11万8千人。
同時に将官も現在の436人から76人減らし、360人にする。こちらの対象も、9割近くが陸軍だ。

兵役は陸軍と海兵隊で21カ月の期間が21年末までに18カ月に、海軍は23カ月から20カ月、空軍は24カ月から22カ月にそれぞれ短縮。昨年入隊した兵士から段階的に適用される。

一方、国防関連での民間人の比率を5%から10%に上げ、非戦闘分野の職に民間人を充て、この分野の軍人は歩兵や機械化師団などの戦闘部隊に移す。
女性幹部の比率も22年に、5・5%(昨年・1万97人)から8・8%(1万7043人)に拡大する。

兵役期間の短縮は、文大統領の大統領選挙での公約だった。
文氏は報告を受けた27日、就任後初の全軍主要指揮官会議を開き「休戦協定65周年に当たる歴史的に深い意味がある今日、国防改革報告の対話を持つことは意義深い」と述べた。

文政権が兵力削減と兵役期間短縮を断行したことに対し、韓国では「対北抑止力が弱化する」といった懸念が軍内部からも聞かれる。
同時に保守層からは「年内の朝鮮戦争終戦宣言を目指す文氏が北朝鮮を意識し過ぎ、国防政策にまで影響を及ぼした」(朝鮮日報)との批判も根強い。

北朝鮮が兵力も削減せず核・弾道ミサイルを完成させた一方で、韓国は自ら兵力の縮小に邁進(まいしん)している形だ。

http://www.sankei.com/world/news/180728/wor1807280030-n1.html
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