【北京時事】中国共産党の序列2位ながら影の薄かった李克強首相が、経済政策で存在感を
示している。米国との貿易摩擦激化で、習近平国家主席が率いる政権が動揺していると
伝えられ、政敵とされた李首相の動きに関心が集まる。李首相主導で大規模な景気対策が
進められれば、習主席が優先課題と位置付ける債務の抑制が後回しになりかねない状況だ。

 注目されたのは李首相が23日に開いた会議。財政政策を「もっと積極的に」と号令を
かけたほか、インフラ整備に潤沢な資金を供給するよう金融機関に促すことを決めた。
習主席が力を入れる債務の抑制に反するかのような内容が並んだ。

 中国では首相が経済政策を担うのが慣例だが、成長を優先する李首相の経済運営は
2016年5月に否定されていた。共産党機関紙・人民日報は当時、匿名の意見を掲載し、
異例の政策批判を展開。習主席の経済ブレーン劉鶴氏(現副首相)が書かせたとうわさされ、
「習氏による李氏外し」と受け止められた。

 実際、李首相は経済政策の実権を奪われる形となり、取って代わったのが劉氏。今春には
副首相に就き、「首相をしのぐ副首相」とも言われた。だが、担当した米国との貿易協議で
つまずき、摩擦は激化。中国経済の先行きに暗雲が垂れ込め始めた。

 こうした中、「劉副首相の責任を問う声が上がっている」との未確認情報が飛び交う。
習主席の「側近中の側近」とされ、第一線での活躍が伝えられるが、対米交渉から外れるとの
観測もある。

 習主席主宰の党政治局会議が近く開かれ、今年後半の経済政策が協議される見込み。
積極的な財政出動を呼び掛ける方針が追認されれば、李首相の存在感が再び高まり、
景気優先の政策運営に大きくかじを切る可能性がありそうだ。(2018/07/28-14:39)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018072800310&;g=int