W杯ロシア大会での健闘が讃えられるサッカー日本代表の中で、ただ1人、批判的な声が寄せられているのが、キーパーの川島永嗣。
バッシングともいえる異常な状況に、少年サッカーの現場では「進んでキーパーやる子ゼロ問題」が持ち上がっているという。

 事前の厳しい予想に反して大善戦した日本代表だが、なかば戦犯扱いされているのが川島だ。
セネガル戦では中途半端なパンチングで失点を招き、ベルギー戦でも緩やかなヘディングシュートで不運な得点を許して、ポジショニングが悪いと批判が殺到した。
子どもたちの間では、今やサッカーの人気は野球を上回り、人気ナンバー1スポーツだが、少年サッカーの現場では、“川島ショック”とでもいうべきトラブルが頻発しているという。
都内のサッカー強豪校出身で、現在少年サッカーを指導している男性が明かす。

「すでに20年近く少年サッカーの指導をしていますが、キーパーをやりたがる子はほとんどいないので、だいたいは“やらせる”という形になります。
選ばれるのは背が高くてキック力があり、足が遅い子ですね。けれども『キーパーをやらないか?』というと、まず間違いなく嫌そうな顔をします。
子どもたちに話を聞くと、『点を取りたい』『攻めたい』『つまらない』などと言います」

 確かにキーパーは、グラウンド上でただ1人“手を使う”のが基本的な仕事。他のフィールドプレイヤーとは練習メニューがまったく別だ。
子どもたちの中には、「キーパーになったら、もう他のポジションにいけない」と主張する子もいるという。さらに、キーパーをやりたがらない深刻な理由もあるそうだ。

「子どものサッカーでは、『点を入れられる=キーパーのミス』です。相手チームにめちゃくちゃうまい子がいたり、キーパー以外の子がまったく守備をしていなかったりしても、
点を入れられると『キーパー! 何やってんだよ!!』というのが子どものサッカーというもの。どれだけ厳しく指導しても、それはなかなか変わりません。
一番偉いのがフォワードで、次が中盤、その次がディフェンダー、キーパーが一番下というヒエラルキーです。
少年サッカーをやっている子たちは、当然今回の日本戦も見ていますが、試合後の川島への批判を見て、いよいよキーパーは報われないポジションだということを痛感したようです。
キーパーに指名されてチームを辞めてしまった子もいますし、キーパーに指名した子の親から、『なんでウチの子がキーパーなんですか?』というクレームが入ったこともあります。
今回の川島に批判の余地があったのは確かですが、あんまり叩くとキーパーをやる子がいなくなってしまいます」(同)

 オリバー・カーンやマヌエル・ノイアーなど、各世代に名キーパーを生んでいるドイツでは、ゴールキーパーこそ花形ポジションだという。
次回2022年のカタール大会に向けて、日本でもそろそろ“意識改革”が求められそうだ。


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